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「ふん。この私を誰だと思ってるのよ。例のプログラムならとっくに終わっているわよ。今は計画の下準備。後二、三分で終わるっての」
「そうか……流石だな」
黒光りする男は満足げに頷いた。その直後、すうーっと黒が消えてゆき、声相応の壮年の男性となった。
「まったく、本当ならあと一年かけてゆっくりと仕上げていく予定だったってのに……」
「だがそれをたった二週間で仕上げるとは、驚きだよ。世界広しといえどここまでできるのは君しかいない」
ぶつぶつ文句を言うジュディーをなだめつつ、男はジュディに歩み寄る。
「よしっ!おわりっ!……んで、これからどうするのよ、おっさん」
「当分の間は待機だな。今から約二十一時間後、作戦を実行に移す。それまで休んでおきなさい」
「え~そんなに先なの~?そりゃあ私だって休みたいけど、五、六時間でいいわよ」
「まぁそう言うな。中途半端に仮眠をとって、いざという時に動けなかったら困るからな」
それを聞いたジュディーはますます不機嫌そうになり、
「私の役目はあとちょっとでしょ?それに計画の後半からは私の好きなようにしていいっていう条件のはずよ」
頬をふくらませ、どこか子供っぽさを感じる表情を浮かべていたが、
「だから別に対したこと……まさか契約を破る気?」
一言低い声で言い放ち、男を睨みつけた。その眼光は凄まじいほどの殺気が込められていて、普通の人間ならなりふり構わず逃げだしていただろう。
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