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「いや、そうではない。ジュディーのやりたいことはちゃんと把握しているし、きちんとその時間はとらせるつもりだよ」
先程までとは一変して、恐ろしい形相のジュディーにまったく臆することなく、男は続ける。
「ただ、相手も馬鹿ではないからね。計画の始点となる第一段階で失敗するわけにはいかんのだよ」
「……ま、そういうことにしておいてあげるわ」
表情を元に戻すと、すっと立ち上がり、
「んじゃ、言われた通りじっくりと休むとしますか」
そう言うと、機械のボタンを押した。すると全てのディスプレイの画面が消え、完全な暗闇と化す。
「おやすみ~」
そして一人の気配が消える。
残った一人は、
「くくく……もうすぐ会えるよ、我が愛しのキティー」
突如男の手に黒紫色の魔法陣が浮かび上がり、かすかに部屋を照らし始める。さらに、魔法陣からにゅーっと刀の柄が出てきた。男はそれをおもむろに掴むと、抜刀した。それは刀身が両刃で、見たことのない紋様が彫られていた。そして、刃全体に血の色をした波紋のようなものが不気味に発光していた。
その光を受け、肌が血の色に染まり、皺に闇が潜んで、赤と黒の混ざった顔がに~っつと笑みを浮かべた。
「君をまた闇へと導いてあげよう」
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