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「おはよーって、私たちはついでかいっ!」
すかさず明日菜が裕奈に突っ込みを入れる。
「にゃははは……それにしても、みんな揃って登校?」
「うん……まぁね」
ついさっきまで修行をちょっとね、と誰にも聞こえないように漏らした。
「それより時間がヤバいから先に行くわよ」
そう言うと、持ち前の俊足を生かして、あっと言う間に前を歩く他の生徒の中へ入り込んでしまった。
「あれ?アスナって日直か何か?」
きょとんとした顔で首を傾げる裕奈の横を、
「ほな先行っとくな」
ローラースケートを履いた木乃香が滑り抜け、その後をお辞儀をした刹那が駆け抜けていった。
「あれ?」
ますます訳が分からなくなりつつあるまき絵の隣を、
「じゃ、お先アル」
「にんにん」
いつもの如く軽快な動きで二人が通り過ぎ、
「では皆さん、僕も朝礼があるので先に行きます。……遅刻しないようにしてくださいね」
ネギが明日菜に負けず劣らずの速さで裕奈のすぐ隣を駆け抜けていった。
「ネギ君はやっ!」
「う~ん。遅刻って……まだ八時前やのになぁ」
「あ」
「どないしたん?アキラ」
「今日のホームルーム、八時から」
「「あ」」
するとその時、すぐ前方にそびえたつ麻良等学園中等部校舎からチャイムが鳴り響いた。
「げ、予鈴!?」
「やっば。みんな、急ぐよ!」
祐奈の掛け声と同時に四人は走り始め、その他の生徒の波へと紛れていった。
その頃、裕奈達の頭上を横切る一つの人影があった。
「わぁ~、こんなへんぴな島国でも、魔法使いの拠点なだけあって流石にスゴい眺めねぇ~」
それは、つい最近麻帆良学園にやってきたアーニャであった。見つめる先には麻帆良学園を始め、ヨーロッパを思わせる造りの小中高等学校や住宅街が広がっており、少し離れた位置に世界樹が生えている。数キロ離れた位置から見ているのにも関わらず、世界樹は枝々を伸ばし、葉を茂らせ、その巨大さを十分に醸し出していた。
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