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「ふ~。ま、余裕だね」
本鈴がなる一分前に、教室に駆け込んだ祐奈は得意げに言った。その後すぐに、ぐてっと机の上に突っ伏し、
「あちぃ~……」
「そりゃそうや、真夏に走ったらそうなるに決まっとるやろ」
「もう少し早く出ればよかったね」
早速下敷きで扇ぎながら亜子とアキラの二人が答える。同じようにまき絵もしながら、
「うへぇ~。ただえさえ久し振りの登校って、時間の感覚って掴みづらいのに、八時からだもん」
「うぅ……亜子ぉ、下敷き貸してぇ~」
「いや、ゆーな、自分のはどないしたん」
「鞄から出すのがめんどくさくって」
あのなぁ……と苦笑いを浮かべたその時、
「皆さん、おはようございま~す」
チャイムと共にネギが教室に入ってきた。
「「ネギせんせー、おはよ~!」」
元気のいい挨拶がクラス中に響き渡り、立っていた者達は足早に自分の席へと戻って行った。
「それでは出席を……欠席者はいないようですね」
「はい、ネギ先生。3-A全員出席してますわ」
「いつもありがとうございます、いいんちょさん。それでは早速ですが、提出日が今日の宿題を前に出してください」
え~っ、昨日徹夜したよ、うぅ出校日はこれもあるから嫌だよ、ヤバいあと少しなのに、毎日コツコツやれば全然大したことありませんわよ、などとクラス中がざわつきながらも次々と宿題が教卓の上に積まれていく。
「はい、全員出しましたか?」
「あの、ネギ君……あとちょっとだけ待ってくれる?」
遠慮がちに手を挙げたのはまき絵であった。気まずそうにするまき絵に対し、ネギは叱咤することなく、
「分かりました。ではまき絵さん、放課後までには出してくださいね」
「うん!ありがと、ネギ君……って私だけ!?バカレンジャーは?アスナは?」
過去の長期休暇では必ず仲間となった者達に視線を向けると、
「実はもう夏休みの宿題は全部終わっているです」
「ふふふん。残念ね、私はもうとっくに終わっているわよ」
その言葉……特に明日菜の……を聞いた瞬間クラス中にどよめきが起こった。
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