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放課後、二週間後に迫った文化祭に備え、一号館二階の西端にある部室へと向かう。
「…!?」
部室の前まで来て気付いた…。
誰も居ないはずの部室の中から、一人分の足音が聞こえる。
「中に、誰かいる?」
博美はゆっくりと、少しだけ戸を引いて中を覗いた。
約八畳ほどしかない狭い部屋を右から左にゆっくりと視界をスライドさせると、奥にある本棚の前に一人の女の子が立っていた。
彼女はただ、本棚に並ぶ星座や天文学の古い本を眺めながらゆっくりと歩いている様子だった。
「…誰だ?」
うちの制服を着ているのでここの学生だろうとは思ったが、顔がよく見えない。
「!!」
女の子が振り返り目が合った。
(うっ!!)
状況がよく理解出来ないのと、自分が覗きをしてたような気になり固まってしまった。
「!?…あの…?」
先に話しかけて来たのは向こうからだったが、一般の生徒との会話など普段しないので言葉が出てこなかった。
「…?」
「あ~っと…、誰…ですかね?」
やっと出た精一杯の言葉だった。
「えっと…、川上…結美(カワカミ ユミ)です。
すみません勝手に入っちゃって…。
あの…部長さんですかね?」
「…あぁ!はい!そうですが…」
歳の近い人間と話すのが久しぶりで唇が震え、言葉が上手く出なかった。
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