2人が本棚に入れています
本棚に追加
/80ページ
はっと息を呑む。
反射的に逃げようと外へ足を出す。
母さんがあたしの腕を掴んで引き寄せた。
「ひ、っ!!」
そして、頬に平手が飛んだ。
バチンと痛々しい音が鳴った。
実際、痛い。
無言であたしをリビングへ連れて行き、ソファへ投げ込む。
スプリングが軋んで、あたしは頭を打った。
「い、った・・・」
涙目になり、見上げようとする前に、また頬を殴られた。
今度は拳で。
やめて、と叫んで騒いだら、今度は腹を殴られた。
思わず吐きそうになって、こらえた。
吐いてしまったら、片付けるのはあたしだ。
「ぉねが、やめて・・・!!」
泣いて叫んでも、意味がないことは分かっていた。
その後、あたしを蹴って踏んで、さんざん殴った母さんは、時間になって出ていった。
いつもの習慣で、行ってきますを言ってから。
たまに包丁を持ち出して、薄く斬られたり、怪我をしたように見せる切られ方もあった。
今日はマシな方。
.
最初のコメントを投稿しよう!