#01 真実の欠片

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「…………おい」 「…………」 「おい起きろ」 「うわっ。生ハムが…………ハムが……な……な……な…………生ハムレモン!」 「貴様、起きろって」 「生……ハム……レモンがぁ……っぅあべしっっ!!」 「起きたな」 彼女のこぶしは今日も快調らしい。まさかこんな目覚まし機能があるとは…… 「だから殴らなくてもいいだろ!……ってここどこだよ…………俺……確か電車から飛び降りて、地面に突っ込んで……」 そこには俺の街とは全く違う風景が並んでいた。例えるなら、ファンタジー映画のような、大草原が広がり渡り、遠くに村らしきものが見えていた。太陽の位置からして、もうすぐ昼になりそうだ。 「まぁ、それはあの村に着いてから説明する。さぁ、行くぞ」 「おい待てよ『ルル』」 とっさに声が出た。 「……貴様なぜ私の名を知ってる」 意外だったらしく、彼女はキョトンとしていた。 「いや……。電車の中でアイツが言っていたから……」 俺はその時の場面を思い返す。 「あと、『調査員』とか『能力者』とか……」 「ふむ、まあそれも後で説明しよう。まずは村に着いてからだ」 彼女は俺に背を向け歩き出した。 と思いきやまた振り返り、俺の方を見る。 「そういえば名前をまだきいてなかったな。名前は何だ」 「…………『藤田 冬人―フジタフユト―』だ」 俺は彼女を見ながら答えた。 「そうか、冬人か。さっきもいった通り私の名前は『ルル』だ。よろしくな」 そして彼女は左手を前に出した。 「…………何?」 「握手だ。知らないのか?」 なんだこれは。何かあるに違いない。今までのルルの態度からしてこれは罠ではないのか。 ここから想定できるパターンは3つ パターン1 手を握ったとたん、そのまま引き寄せて右ストレート パターン2 手を握ろうとして油断した時に右ストレート パターン3 右ストレート どれをとっても俺は殴られるらしい。 覚悟決めるしかねえな。 やるよ。俺はやるよ。 そして俺の右手が彼女の手に触れた。 だが、ルルは俺の考えとは違う行動を見せた。
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