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「おい待て」
「ん?」
「何だよいきなりついて来いだなんて!大体今日初めてあったばっかりだろう!何で俺を連れて行こうとすんだよ。それに行き先が未来なんて訳わかんねぇよ!」
俺は今までのデータを統計した結果、もっともな正論を言った。普通の人ならわかって…
「うるさい。行くぞ」
コイツがバカという計算が入っていなかったようだ。
「なぜ自分が~という意見もわからなくはない。私が貴様ならば同じことを言うだろう。だが、それは今貴様に理由を話しても理解が出来ないと思ったからだ。話をすれば長くなるし、もうすぐで列車は発車してしまう。またこの時代に戻れるのだから、今は黙ってついて来いよコノヤロー。ということだ」
先程とは別人であるかのように論理的に話す彼女に俺は驚きを隠せずにいた。
言葉を言い終えた彼女はクルリと振り返り、前を歩いていく。俺はその場に立ち止まっていたので彼女との間に距離ができる。
気付くと、行き交う人はいなくなっており、俺達だけが道路にいる状況であった。
「まだそんなところに突っ立っているのか。早く来い」
そう言いながらも彼女は歩きをやめない。
俺はどうすればよいのだ。彼女についていき、わけもわからぬ世界に身を投げるのか。それとも家に帰り今までの日常に戻ればいいのか。
正直、彼女に付いていきたいという思いもある。だがそれは、好奇心だからであって本心ではない。
一瞬のテンションに身を任せ、滅んだ奴を幾多も見てきた。
文化祭での男子高校生しかり
「何をグズグズしているんだ。こうなれば力づくで連れていくぞ」
遠くから声が聞こえた。かと思うと、彼女は胸ポケットに手を入れる。
「『リラ』!出番だ!あいつを引き寄せろ!」
おいおいおいおい!
ちょっと待て!何でポケットから緑色のスライムみたいなのでてくんだよ!
そのスライムもどきは体を自由に伸ばし始め、二本のつるを作り、俺の方へと伸ばし始めた。
……どこからツッコめばいいのだろうか。
「おい何だよそのスライムもどきは!何でポケットからそんなもん……がっ……ちょっ……待て……ストップ!」
俺は、つるを交わすのに精一杯であった。
まぁ結局捕まれてグルグル巻きにされたけど…
「うおおおおお!」
捕まれた俺は引き寄せられ、現在、人生初の空を楽しむという行為をしております。
俺には初めから選択を選ぶ権利はなかったようだ。
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