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cause ~始まり~
~長白学園校長室~
窓からの光が反射して、目が眩みそうになるほど、装飾に凝った机の向こうに似たような装飾の椅子に腰掛け何かを考え込む校長がいる。
なぜ校長と断定したのか……胸のポケットに【アイアム校長!】と書かれているのだ、これで校長ではないのならなんだというのか。
ふざけているとしか思えないその校長は、くるくると機用にペンを回しながら書類を睨みつけている。
見ると、まだ若く、いかにして校長という地位までたどり着いたかは不明だが、聡明な顔立ち、そして茶髪の坊主頭が目に留まる。
教職員という面から見れば、派手過ぎるだろうが何故か見た目とは裏腹に酷く落ち着いた雰囲気を醸し出している。
コンコン
そんな悩める(悩むのは主に周囲だが)校長のいる校長室にノックの音が響く。
「玉ちゃんいる? 入るよ~!」
快活な女性の声が聞こえて来た。その声はとても澄んでいて、例え金切り声を挙げたとしてもさして聞けなくもないだろう。
「はいはい、いますよ~、どうぞ」
玉ちゃんと呼ばれる校長が返事をすると、先の澄んだ声の主であろう女性が入って来た。
ドアが開き、少し外の暖かい空気が入り込む。
「お、ちょうどいい所に来ましたか、鈴さん、尋ねたいことがあったのですよ。」
見るとこの鈴と呼ばれる女性は、整った艶のある柑橘類を思わせる橙の髪に、美麗な顔立ち。スタイルもまたいい。
「次のメンバーのことですが……決まりましたか?」
校長は笑顔で尋ねる。やはりその振る舞いは何か気品を持ち合わせているかのように落ち着いた物だ。
「うん、実は……」
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