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(とにかく今は入学式に出なきゃな、早く着いて行かないと!)
しばらくの間呆けていたが、利弥は我に帰ると急いで他の生徒に着いて行った。
‡
利弥は今、体育館の床に座っている。床はまだ春という事もあり、中々に冷たい。
何故床に座っているのか? それは……教師的にはぎりぎりアウトな容姿の校長が「椅子? めんどくさい、怠い、無しでいいじゃん……これも修業だよ。」の一言で決定したらしい。
(校長……師ね、死ねぇ、シネ、死ね、ゴミ! クズ! カス!)
利弥には徐々に不満が募りつつ……いや、正確には周りの生徒も……
「なぁなぁ利弥! あの子可愛くね? あっ! あの子も! なあ利弥~お前はどの娘が……ぶへゃあ!!!」
利弥の隣で周りの女子生徒の話題をしつこく利弥に振っていた男……まぁ一応利弥の親友。なのだが、利弥の「不満をコイツ(拳)に込めて」という必殺技を顔面でキャッチし、伸びていた。
「あ、すまん夜白。代わりに紹介しといてやるよ。名前は石津夜白(セキツヤシロ)。男だ。姑息だ。変態だ。最低だ。と、こんなもんか。それより……俺はいったい誰に紹介してんだ? なぁ夜白?」
利弥はそれはもう清々しい……先程までの不満は無くなった満面の笑みで夜白の方へ向く。
「あ! 悪い。お前やったの俺だった……ははは!!」
利弥は完全にツボにハマったようで……周りから睨まれる程、腹を抱えて笑い続けている。
そしてついに式が始まり恒例の校長の長い話はあるわけもなかった。
校長は舞台に立つと軽く咳ばらいし――
「えーみなさん卒業……あっ! 入学おめでとう。ごめんね、3日前卒業式したばっかだから。では……後は私の世界で1番愛している渡仲菜々実(ワタナカナナミ)ちゃんこと渡仲先生に引き継ぎます。」
ちなみに渡仲先生と校長はついこの間に籍を入れたばかりでいわゆる新婚だ。
「うーっす、渡仲です。んじゃみんなにはクラス決めてもらいまーす。 楽しんでくれ~。私はこれから晃(アキラ校長)とラブラブしてきます!」
そういうと二人は退場していった。
(いいのかよ……)
会場の殆どが団結した瞬間だった。
その後現れた教師の説明でクラス決めが始まった
戦の開戦である……
体育館の空気が張り詰めた……気がした
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