第一章 -出逢い-

10/19
前へ
/324ページ
次へ
アリスの願いも虚しく、汽車の発車が駅内アナウンスで伝えられる。 「そんなっ……おびぃぢゃぁん。」 その現状を目の当たりにして大粒の涙がアリスの頬を伝う。 「さぁ、一緒にいこうね~?」 「いやだぁ~!おびぃぢゃん!!おびぃぢゃぁん!!」 アリスはその場で大泣きしはじめるが周りの人達は、誰1人として救いの手を差し伸べない。 しかし、それは仕方のないことだった。 アリスの周りを囲っている男たちは、この辺りで有名な犯罪者組織の入れ墨を右腕に入れていたのだ。 故にアリスは普通ならこのまま連れて行かれるしかなかった。 そう、普通なら… 「おい、お前ら…うちの妹になにしてくれてんだよ?」 いつもそばにいてくれるとても暖かくて安心できる声が、アリスの耳には確かに届いた。
/324ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1063人が本棚に入れています
本棚に追加