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アリスの願いも虚しく、汽車の発車が駅内アナウンスで伝えられる。
「そんなっ……おびぃぢゃぁん。」
その現状を目の当たりにして大粒の涙がアリスの頬を伝う。
「さぁ、一緒にいこうね~?」
「いやだぁ~!おびぃぢゃん!!おびぃぢゃぁん!!」
アリスはその場で大泣きしはじめるが周りの人達は、誰1人として救いの手を差し伸べない。
しかし、それは仕方のないことだった。
アリスの周りを囲っている男たちは、この辺りで有名な犯罪者組織の入れ墨を右腕に入れていたのだ。
故にアリスは普通ならこのまま連れて行かれるしかなかった。
そう、普通なら…
「おい、お前ら…うちの妹になにしてくれてんだよ?」
いつもそばにいてくれるとても暖かくて安心できる声が、アリスの耳には確かに届いた。
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