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朝日が窓から春の暖かい光を部屋の中へと差し込ませ、少年の眠りを深くする。
だがそんなのどかな光景はいつまでも続くことはなかった。
少年の部屋に向かい階段を駆け上る足音が聞こえてくる。
足音は少年の部屋のドアの前に来るといったん止まった。
コンコンッ
「お兄ちゃん?入るよ?」
ノックされたドアが開き少し茶色い瞳をくりっとさせ、茶髪を肩まで伸ばした背の低い可愛らしい少女が現れる。
少女は少年が寝息をたてているベットへ近づくと少年を揺すりはじめた。
「お兄ちゃん、早く起きないと遅刻しちゃうってば」
「……スー……スー」
しかし少年は一向に起きる気配を見せない。
「お兄ちゃん!もう怒ったよ?アクアボール!!」
そんな少年を見て少女は右の手のひらの上に水の球体をつくると、少年の顔に投げた。
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