第三章 -魔眼-

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「ふぃ~、極楽極楽」 あのあとカレーを六杯おかわりしたゼロは、頭にタオルを乗せながら湯船に浸かっていた。 (そうだ、学園で習った魔法を試してみようかな?) そう考えたゼロは右手の手のひらにお湯を乗せると、魔力を込めはじめた。 「水よ、穏やかに彼の者を包め」 詠唱が終わるとゼロの右手は水球に包まれた。 「これがアクアボール……か」 ゼロがつまらなさそうな顔をして右手を握りしめると水球は破裂し、いくつもの小さな水球になった。 それはいくつものシャボン玉が永遠を手に入れたかのように、その場にとどまっているような光景だった。 一見普通にこなしているように見えるゼロだが、魔法を分裂させたまま維持するのはとても難しく、上級者でもそう簡単におこなえる者は数少ない。 この頃からゼロは、力の片鱗を無意識に発動させることができるようになっていた。
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