1063人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちっ、いやな夢を見た。実に不愉快だ」
寝癖がぴょんぴょんとはねているボサボサの頭を掻きながら、ゼロが辺りを見渡すと、アリスのベットにその姿はもうなかった。
「……今何時だ?」
ゼロが時計を見ると時刻は10時を指していた。
「はっ……二刀流の侍だって遅刻したんだ、待っている相手が違うだけさ」
なぜか武蔵と小次郎を知っているゼロは、自分にそう言い聞かせながらもアリスのことが心配になり、家を飛び出し約束の場所へと向かった。
そう、ゼロは極度のシスコンなのだ。
「ふふっ、朝から元気ね」
洗濯物を干しながら飛び出していったゼロの背中を眺め、笑顔を浮かべていたリンスだが空の向こうの薄暗い様子を見て、曇った表情を浮かべる。
「なんだかいやな予感がするわね……」
最初のコメントを投稿しよう!