第三章 -魔眼-

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「ちっ、いやな夢を見た。実に不愉快だ」 寝癖がぴょんぴょんとはねているボサボサの頭を掻きながら、ゼロが辺りを見渡すと、アリスのベットにその姿はもうなかった。 「……今何時だ?」 ゼロが時計を見ると時刻は10時を指していた。 「はっ……二刀流の侍だって遅刻したんだ、待っている相手が違うだけさ」 なぜか武蔵と小次郎を知っているゼロは、自分にそう言い聞かせながらもアリスのことが心配になり、家を飛び出し約束の場所へと向かった。 そう、ゼロは極度のシスコンなのだ。 「ふふっ、朝から元気ね」 洗濯物を干しながら飛び出していったゼロの背中を眺め、笑顔を浮かべていたリンスだが空の向こうの薄暗い様子を見て、曇った表情を浮かべる。 「なんだかいやな予感がするわね……」
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