第三章 -魔眼-

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(着いたらなんて言い訳しようか? わざと遅れてお前の気を乱そうとしたんだよ……これでいいっか。) ゼロはこのとき予想できるはずもない事態が起こっていることに、気づくよしもなかった…… 風のような速さで公園まで駆け抜けた少年の眼前に広がるのは、いつもの友の姿ではなくずたずたにされた体で息を切らしながらも、ゆっくりゆっくりとこちらへ這いずってくる変わり果てた友の姿だった。 少年は友へと駆け寄る。 「ギア!大丈夫か!?なにがあったんだ!?だれがこんなことを!?」 「ぐっ……まぁ、落ち着けや」 そう自分を諭す友を抱きかかえて少年は初めて気づく、友の体に刻まれた服の上から見ただけではわからない生々しい傷に…… 友は淡々と語り出す。 「すまん……ドジったわ、このへんの犯罪者組織に……アリス……ざらわれで……じもうだ……精一杯対抗じだんやげど……ずまん」
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