第三章 -魔眼-

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不意に背後から飛んでくる何かを感じたスガが反射的にその場を離れると、黒い影が目の前を通過し、ボロ同様に廃墟の正門に叩きつけられた。 「ボ、ボス……」 横目で影の正体を見たスガは力無くそう呟いた。そして、背後に立つ何者かの気配に気づきゆっくりと振り返る。 ゆっくり、ゆっくりと そこに立っていたのは…… 「逃がしはしない」 幼き悪魔、止めることなど誰も出来ない。 オレたちは手を出してはいけない悪魔の宝を奪ってしまったんだ…… スガの目には絶望が浮かび上がり、もはや立ち尽くすことしかできなくなっていた。 「……消えろ」 幼き悪魔が右手を天へとかざすと辺りが光に包まれ、廃墟と共に倒れている無数の犯罪者達を跡形もなく消し去った。 すべてが消え去ったその場に残されたのは、幼き悪魔とその悪魔に抱きかかえられ、スヤスヤと眠る幼い天使のみだった。
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