1827人が本棚に入れています
本棚に追加
(・・・・・この男、闘い馴れてるな。)
爻哉は心の中でそう呟きながら男の斬撃をかわすと後ろへと跳躍し、男と間合いをとった。
「参ったな、これは武器使わないと危ないかな。」
爻哉はそう言うと、制服の内ポケットから二本の小太刀を取り出した。
「・・・・・貴様、何者だ。」
男はまさか爻哉が武器を持っているとは思いもしなかっので、警戒しながら問いかけた。
「なに、普通の公立高校に通う普通の高校生さ。」
爻哉はそう言いながらも視線を男から離さず、小太刀を構えながら言った。
「・・・・・。」
男はしばらく黙っていると、
「今の状態で貴様と闘うのは得策ではないな。
悪いが退かせてもらおう。」
剣を出てきた時と同じ様に何処かにしまうとそう呟いた。
「逃げれる様な場所は無いぞ。」
そう。
今、男と爻哉が居るのは路地裏の袋小路。
道は一つしか無く、そこには爻哉が立っている。
「なに、無ければ“創る”だけだ。」
男はそう言うとおもむろに手を後ろに向かって伸ばし、
「我、創造せし異次元の扉“クレート ザ ゲート”」
男がそう叫ぶと後ろの壁に、漆黒の扉が現れた。
爻哉が一部始終を見て呆けていると、
「追ってきたければ来るがいい。
“こちらの世界”でなら相手をしてやろう。」
男はそう言うと扉の中へと入っていった。
「待て!」
爻哉は叫ぶと迷わずに扉をくぐって行った。
この日の出来事が、後に『不滅の剣豪』と呼ばれる一人の英雄の始まりだった・・・・・。
最初のコメントを投稿しよう!