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「そうだろうが見られた位、減るもんじゃない」 女は平然とそう言ってのけた。 「貴方って最低」 「はは、冗談!ブラックジョークだよ」 「余計最低」 二人のやりとりは低レベルを極めた。 遡ること、今から1時間前。 山崎秀太はいつも通り、会社に向かう予定だった。 7時20分発のバスに乗れば、会社には余裕を持って着ける。自宅からコンビニに寄って、缶コーヒーと日経新聞を買うのが習慣でバス停には7時10分には着くのだ。 そしてこれもいつも通り、そのすぐ後に女子高校生がやってくる。 その女子高校生は、衣川八重子と言った。この辺では進学校として名の知れた女子高である成城高校に通う才媛だ。 朝は必ず、草木に水をやり愛犬と散歩に出掛けた。その後しっかり朝食を食べてから出掛けている。 7時20分発のバスに乗るために、バス停に向かうと必ず同じ男がいることにも彼女は気付いていた。 日常と違わぬ今日も、少し異変が起こったのだ。
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