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バスに乗り込む途中、小さな子供が山崎秀太と衣川八重子の膝をぽん、ぽんと叩いて行った。 怪訝に思ったのは一瞬で、子供の無邪気さ故だと小さく笑った。 バスが発進した時だった。大きく揺れる車内で一瞬、山崎と八重子は目眩を感じる。 その次の瞬間は、そこは全く日常ではなかった。 八重子は、山崎で山崎は八重子になっていた。しばらくしてそれに気付いて、二人は急いでバスを降りたのである。 一先ずは、山崎の家に行くことにした二人だったが家に着くなり、八重子の姿をした山崎が制服が落ち着かないと言い出した。 そのため、山崎の姿をした八重子が自分の体に目隠しをし、着替えを手伝うことにしたのである。 「真剣な場面に、不釣り合いなジョークはやめて下さい」 「そうかい?」 「絶対です」 憤慨しながら、山崎の姿をした八重子は八重子の姿をした山崎に山崎の服を着せた。 誰々の姿をした誰々と説明を加えるのは、いちいち面倒なので以下は中身で表現する。皆さんもお分かりになられただろうか。つまり2人の中身が入れ替わってしまったのである。
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