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予感めいたものを感じながら、通りすがりに覗いてみると、予想通りにそこには小さな塊があった。
雨に打たれ、ふるふると震えている小さな生き物。
そして、段ボール箱の耳の部分には、大きく『拾ってください』の文字。
思わず眉間に皺が寄る。
傘を少しずらして段ボールにかけてやると、雨がなくなったことに気がついたのか生き物が顔をあげた。
少しへたれた耳に、長い尻尾。
濡れた毛玉のようになってはいたが、それは猫だった。
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