14人が本棚に入れています
本棚に追加
朝食を食べ終え弁慶とヒノエがやって来たのは、校舎の裏の茂みを越えた先にある広場であった。
広場というよりも、ただの原っぱかもしれないが、茂みに隠れて分かりにくいこの場所は、まず誰かがいる事はなく、2人にとっての憩いの場となっている。
わざわざ茂みを掻き分けてまで来る者など、自分達ぐらいのものだ。
まあ、自分達もたまたま見つけただけだが。
「ああ…やっぱここは落ち着く」
ヒノエはゴロリと、原っぱには不釣り合いな革製のソファーに寝転んだ。
このソファーは、使わなくなったものを内緒でここへ運んだもの。
2人が座っても十分な大きさのあるソファーで、その分人目につかずにここへ運ぶのには苦労したものだ。
弁慶もヒノエの足元がある辺りに腰を下ろす。
「そうですね。誰もいないからのんびり出来ますし。それに…」
「それに?」
弁慶は屈み込むとヒノエの唇を奪った。
「こういう事も出来ますしね」
「馬鹿か…」
クスリと笑ったヒノエは弁慶の首に腕を回して引き寄せると再びキスを交わす。
今度は唇を合わせるだけの軽いものではなく、舌を絡ませ、互いの口腔を弄り合う濃厚なもの。
「ん…、…ふ…ぁ」
ヒノエの舌を捕まえて吸い上げると、吐息と共に甘い声が漏れ出る。
「ヒノエ…」
唇を離し、制服のタイを解いて首元を現わにさせると、そこへ顔を埋めて肌の感触を感じた。
「おい…いくらなんでも、こんな所で駄目だろ…?」
「分かってますよ。だけど今は…少しこうしていたいんです」
「…………」
最初のコメントを投稿しよう!