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「……エ、ヒノエっ」
「んん……?」
名前を呼ばれてヒノエはうっすらと目を開く。
「いい加減起きてくれませんか?いくら休みだからってダラダラし過ぎです」
「んだよ…もう5分ぐらいいいだろ…弁慶」
「駄目です。君の5分は1時間になるんですから。」
同室である弁慶がそう言うと部屋のカーテンを全開に開く。
途端に太陽の光が部屋中に差し込み、ヒノエは眉をしかめた。
「大体…お前が昨晩あんなに無茶するから、こんなにダルいんだろ」
「僕は君の要望に応えただけです。誘って来たのはヒノエの方ですよ?」
「……………」
そう言われては返す言葉がない。
ヒノエはふてくされたように、さらに布団の中へ深く潜り込んだ。
「もう…ヒノエ。学食の朝食の時間に間に合わなくなりますよ?休みの日はメニューが豪華だから絶対に食べたいと言ったのは君でしょう」
そういえばそうだった。
もぞもぞと布団から出て来たヒノエに、散らばっていた服を投げ渡す。
「…サンキュ」
しぶしぶといった感じに服を着ていくヒノエを見ながら弁慶がおかしそうにクスクスと笑う。
「……なんだよ」
ピタリと動きを止めたヒノエが不機嫌そうな声でジロリと睨む。
「ふふ、何でもありませんよ。先に学食に行っていますね」
ヒラヒラと手を振ると、弁慶は部屋を後にした。
残されたヒノエは何となくムカついて、さらに不機嫌になったのだった。
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