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全くヒノエは…まるで小さな子供のようですね。
そう心で呟きながら、そんな所も愛らしいのだろうとまた笑みを零す。
ヒノエを残して先に出て来たのは、あのままだとまたベッドに沈めてしまいたくなりそうだったからだ。
我ながら、溺れてしまったものだ。
だが、悪い気分ではない。
「起きろおおぉぉお!将臣ぃっ!!」
丁度隣人の部屋の前を通り過ぎようとした時だった。
廊下全体に響き渡るほどの怒号が耳を貫いた。
「この声は…九郎?」
この部屋は九郎と将臣の相部屋であった。
何となく気になり、扉をノックしてみる。
「九郎?僕ですが…何かあったんですか?」
「弁慶かっ!?助かった、何とかしてくれっ!鍵なら開いているっ」
ただ事ではない声音に、弁慶は慌てて扉を開いて部屋に踏み込んだ…が。
「…九郎、僕は他人の情事を鑑賞する趣味はないのですが…」
「違…!そうではないっ!」
部屋に入った弁慶が目にしたのは、ベッドに横たわった九郎の上に乗りかかる将臣、2人の姿であった。
誰がどう見ても、いざ行為を…という体勢である。
だが九郎は全力で否定する。
「この馬鹿が寝ぼけているんだ!こいつを俺の上から退かせてくれっ!!」
真っ赤になりながら将臣の髪を引っ張ったり背中を叩いたりしているが、微動だにしないようだ。
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