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「僕なんかがいてはお邪魔ですし…」
「馬鹿者!冗談を言ってる間があるなら早くこいつを叩き起こせ!!」
もはや羞恥で赤く染まっているのか、怒りで赤く染まっているのか分からない。
弁慶は仕方なく、将臣を起こす事にする。
「将臣くん、将臣くん、起きてください。九郎が困っていますよ?」
肩を揺さぶってみるが反応がない。
何だか今日は人を起こしてばかりだ。
「くそお…っ、う、動けんっ!」
ガッチリと抱き締められているのか、いくら九郎が暴れようともビクともしないようだ。
「将臣くん、起きて…」
少し強めに肩を揺すった時だった。
「…………………………」
九郎の叫びが途切れる。ついでは、弁慶も目を丸くする。
将臣が九郎にしっかりと唇を重ねていたからだ。
九郎は事態が飲み込めていないのか、体の動きをピタリと止めたまま微動だにしない。
弁慶は溜め息をつくと、どうしたものか悩む。
九郎の信頼に応えて将臣を止めるか、面白いのでこのまま見ているか。
「何を騒いでいる」
その考えは騒ぎを聞きつけてやって来た人物によって打ち消された。
「ああ、寮長さん…」
部屋に来たのはこの寮の寮長リズヴァーンだ。
「九郎と将臣は何をしているのだ」
「何を、と言われましても…ご覧になっている通りですが」
ふむ…と、なにやら納得したリズ寮長は、ズンズン2人へと近付いて行った。
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