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リズは将臣の首根っこをむんずと掴むと、そのまま九郎から引き剥がした。
「九郎、問題ないか」
「………寮長…?」
ぽいっと掴んでいた将臣を床に転がす。
その衝撃で呻き声を上げた将臣がようやく目覚める。
「痛ぇ……一体なんだあ?」
頭をさすりながら将臣が場違いな空気でその場にいる人達を見渡した。
「弁慶、出るぞ」
くるりと2人に背を向けると、弁慶を室外へ促す。
「…そうですね」
すぐに意図するところが分かり、弁慶はリズと共にそそくさと部屋を出た。
その直後だ。
「将臣いぃいいいいっっ!!!!」
「ぐはああぁっ!」
ものすごい九郎の怒号と共に将臣の悲鳴が廊下に響いたのだった。
「将臣は朝食には出て来れまい」
「そうでしょうね…」
リズの判断のおかげでとばっちりを受けずに済んだ弁慶は胸を撫で下ろした。
将臣には気の毒だが。
「では、私は行く」
「おや、寮長さんは朝食は…?」
学食とは違う方へと行こうとするリズに首を傾げる。
「必要ない。朝は食べぬ」
それだけ言うと、リズはどこかへと行ってしまった。
てっきり学食へ行くのだと思っていた。
まあ、彼には彼の用があるのだろうし、自分が干渉するべき事でもないだろう。
弁慶は自分の目的地へと向かった。
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