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学食は既に大勢の生徒達で賑わっていた。
窓際の席にヒノエの姿を見つけ、弁慶はそこへ向かう。
向こうもこちらに気付いたようだ。
「遅せーよ弁慶。早くしろって叩き起こしたくせに」
「はいはい、すみませんでしたよ。少し寄り道をしていたものですから…」
テーブルにはヒノエ自身の分だけでなく、自分の分も用意されていた。
どうやらヒノエが先に頼んでくれたらしい。
弁慶はヒノエと向かい合わせの席に座ると、食事を始めた。
「弁慶、これ食べ終わったらいつもの場所に行かないか?」
「ええ、構いませんよ」
そう弁慶が答えるとヒノエは嬉しそうに箸を進める。
いつもの場所とは、学園内にある、弁慶とヒノエ2人のお気に入りの場所の事だ。
「あ、2人共。俺もここ座ってもいいかな~」
「おや、景時」
朝食の乗ったトレイを手に声をかけてきたのは景時だった。
弁慶はどうぞ、と隣の席を促した。
「ありがとう~。君達も今日は朝食に来てたんだねえ。いつもはほとんど見かけないのに」
「ああ、それはヒノエが朝起きてくれないからですよ」
「うるさいな」
弁慶の隣に景時が座ったのを見て、ヒノエが不機嫌になったのを弁慶は感じ取った。
またいつものヤキモチだろう。
「…うん?どうかした?」
ヒノエの視線を感じた景時が不思議そうに尋ねる。
「別に…なんでもねえよ」
視線を朝食に戻して再び食べ始める。
こういうのも、ヒノエの可愛い所だ。
弁慶は内心で呟いた。
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