PROGRAM1 消失~起因する物語

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返す気は毛頭無いか。 やはりアリス自身が狙いなのか? いや、ならこんな手紙を置いていく意味がない、むしろ邪魔になるだけだ。 つまり…… 「『返してほしくば探すがいい』アリス自身が狙いであって、それが本当の目的ではない。」 俺の言葉に蒿が首を傾げる。 雛は目を瞑ったままで、師匠は真っ直ぐ俺を見て次の言葉を待っているように思えた。 だからそのまま俺は話を続ける。 「そうでなければ、こんな手紙を残す必要はない。なら、奴らには他の目的がある可能性もある。それが何かまでは完全に憶測の範囲でしかないが……」 「ならば、アリス親衛隊が一層怪しい事になるのではないか?もし、紅蓮か蒿くんを本気で潰そうと考えているのなら……あり得ない話ではないと考えるが……」 師匠が考える事は俺も考えた。 しかし、それが正解とも限らない。 なら… 「その可能性もありますが、師匠。ここは二手に分かれて行動しましょう。警察に下手に連絡するわけにも行きません。まず、師匠と雛がアリス親衛隊を調べてください。そっちの方は俺達には出来ないですから…」 俺がそう言うと、二人は頷いて賛同してくれた。 「そして俺と蒿は、片っ端から東都中の隠れ家らしい場所を探し回る。効率は悪いが、他に方法はないからな…」 「分かった。」 そして次の合図で、俺達はそれぞれの役割へと入って行った。 「…はぁ、はぁ…はぁっ…アリス、どこに……」 紅蓮達と分かれアリスを探し始めて、既に一時間が経過していた。 オレはそんなに体力がある方ではないけど、自分の疲労に構っていられるほどの心の余裕は残ってはいない。 アリス親衛隊を追っている先生と雛からの連絡もまだない。 このままじゃ…アリスが…… 「がはっ!げほっ、げほっ……」 もう何度吐いただろうか、体力の限界に体はもう何度も悲鳴を上げていた。 それでもオレは立ち上がり、再びアリスを探して走り出す。 そんなときだった。 胸元にしまっていた携帯の呼び鈴が鳴り響いた。 その相手は…アリスだった。 「もしもし!アリス!!無事なのかい…!!」 内心僅かにほっとした。 でも、それは直ぐに全く違うものへと変わってしまう。 「…矢島蒿…」 「………!!。…誰だ…お前がアリスを…!」 「…立花アリスを助けたくば、あなた一人で今から指示する場所まで来い。」 ソイツの声は変声機で変えられていて、男女の区別がつかない。
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