PROGRAM1 消失~起因する物語

15/21
前へ
/184ページ
次へ
そしてオレはその時計の針が交わるその瞬間、針の動きを止めた。 そう、生命の時間を……。 「良かった…間に合っ……」 安堵したその瞬間、自分の体が吹き飛ばされたのが分かった。 胸に激痛が走り、さらに壁に叩き付けられそれが全身に広がる。 「ぐあっ!!………」 地面に倒れ込んだオレに、他の奴が留めを刺そうと刀を振り上げた…… 「ここか…」 俺はアリスの影を追って屋上まで来ていた。 ドア越しに話し声が聞こえる。 「今行くぞ…アリス!!」 ドアノブに手を掛けるのとほぼ同時、ドアにほど近い壁から何かを叩きつけたような音が響いてきた。 「まさか……!」 急いでドアを開け屋上へと躍り出る。 アリスが居ると思ったその場所には蒿がいて、その側に刀を今にも蒿に振り下ろそうとしている男がいた。 「蒿!!」 俺はとっさに男に飛びかかり、刀を払いのけてそいつを吹き飛ばす。 宙を舞う刀が俺の目の前で地面に突き刺さった。 「蒿!しっかりしろ…大丈夫か!?」 「ぐれ…ん………。」 息も絶え絶えに俺の名を呼ぶが、蒿の胸部は完全に破壊されており心臓が動いているのかさえ怪しかった。 「紅蓮……みんなを…アリスを………」 蒿は血だらけの手を俺の頬に当て、最後に…俺に…その能力を使い、その息を引き取った……。 「蒿……蒿!………くっ…。」 俺の能力は皮肉にも、蒿の生体反応や怪我の深さを忠実に教えてくる。 俺が望だけの情報を…忠実に……。 もう……助からない。 「約束だ……必ず、何があってもみんなを…………………守る!!」 刀を手に取り立ち上がる。 右目がうずく…蒿が俺に与えた能力が、力を使えと……。 周りにはいつの間にか武器を手に持った者達が俺に襲いかかって来ていた。 従来の俺の能力はそれぞれの攻撃の未来線を視界に映し出し、それらを全て防ぐ事は出来そうにない……だが………。 「ここで死ぬわけには……いかない!!」 …カチッ…… 右目の奥で時計の針が交わる。 その瞬間、全ての未来線が掻き消えた。 俺はその瞬間に全ての攻撃を受け流し、はたまた切り返した。 それが終わった後、右目の疼きは消えてしまった。 「やりますね……下がっていなさい。私が相手をします。」 スーツ姿の男が他の男達にそう指示すると、男達は素直に言うことを聞いてスーツ姿の男のために道を開いた。 「テメェか…アリスと蒿を殺したのは……」
/184ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加