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「ええ、そうですよ。
あなたは近藤紅蓮でしたね、死にたくないのなら今すぐここから去りなさい、そしてここであったこと忘れることです。」
つまり、無かったことにしろと……そういうことか。
「断る!」
生まれて初めての殺意を言葉に乗せ、俺は刀を下段に構える。
今の自分の顔は、さぞ怖いことだろう。
刀を振り上げ、俺はスーツ姿の男に向かって突っ込む。
「覚悟!!」
「………フッ…」
男が微笑を浮かべたかと思うと、刀が、身体が制止した。
「なっ……!」
俺の身体はそのまま不思議な力に操られるように、後方へ吹き飛ばされた。
壁に叩き付けられるも、何とか倒れずにすんだ。
「今のはエレメンタルコントロール。まさか…………!?」
「自己紹介がまだでしたね?私は人造人間、藍沢 烙羅(あいざわ らくら)です。」
人造人間、減少する人口を補い、また兵力増強の為に造られた新人類。
塩記配列をいじり肉体的または知力的に向上させ、その特徴として全員がエレメンタルコントロール(源力操作能力)を使うことができる。歩兵戦闘力としては最強、一騎当千の猛獣とでも言った方がいいか。
今使ったのは恐らく運動エネルギー、それもかな俺の身体を一瞬で停止させ、それを逆噴射させることで吹き飛ばす。
このままでは不意を突けない限り触れることも出来ない……どうする。
「藍沢か…テメェは必ず俺が……」
俺は言葉を発しながら藍沢に向かって再び走り出す。
刀は下段に構えたままだ。
「無駄な事を………!?」
藍沢が再び俺の動きを止めようと右手を上げたその瞬間、俺は刀を藍沢に向かって投げつける。
「くっ!」
刀は藍沢の前で止まり、その隙に俺が藍沢と刀の間に割って入る。
思った通り、刀の前に立っている俺の動きは止まっていない。
「懐に入ったところで!!」
藍沢は叫びながら刀を吹き飛ばそうとエネルギーを解放する。
しかし俺が刀を既に掴んでいた為、刀は俺を中心に弧を描き、そのまま俺が藍沢に向けて切り上げる。
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