PROGRAM1 消失~起因する物語

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宙で回転して地面に落ちた。 「なっ…!今のは完全に止めたはず……!?」 「貫通銃か…」 話には聞いた事がある。 どんなものでも必ず壁一つは貫通させることが出来る能力を銃の機構に再現した物が開発されたと。 能力のシステム化はある程度可能らしく、物質に頼るものなら簡単らしい。 それならあの銃の大きさは納得がいく。 「!?」 仮面の男は何かに気付き後ろを向いた。 そして逃げるように俺達の前から姿を消した。 「……逃げましたか?まあいいでしょう。これであなたを殺すことが出来る」 「……くっ…。」 藍沢は右肩を抑えながら立ち上がると、棍棒を左手に持ち替えた。 そして俺を見下ろしながら静かに棍棒を頭上に上げた。 「これで……終わりです!!」 俺はとっさに目を閉じ、覚悟を決めた。 「ぐわあぁぁぁぁぁ!!」 「!?」 俺はその悲鳴に驚き目を開く。 すると先ほどまで棍棒を振り下ろそうとしていた藍沢が、屋上の反対側で倒れていた。 「何があったんだ…」 俺はいまだに痛みの引かない身体で立ち上がるが、自重を支えられずに地面に膝を付く。 とっさに背後に気配を感じた俺は、後ろに視線を向けた。 「……なっ………」 そこには確かに人が居た。 紅い瞳にキリッとした目つき、ブロンド色の髪が風に乗ってたなびく。 深緑色の軍服を着た少女が、そこには居た。 「大丈夫?という訳じゃなさそうね…。間に合わなかった……が正しいわね」 少女はそう言うと厳しい眼差しを藍沢に向けた。 「…お前は……?」 俺の声に気付き、少女は俺を見て微笑みかけた。 「私は明羅 紗雪(あから さゆき)。都長の命令であなた達を助けに来たの、もっとも……もう遅かったみたいだけど………ごめんなさい。」 「いや、そうか……父さんが…………」 痛みが引いた俺は立ち上がり、紗雪に向き直って 「ありがとう…助かった。俺は近藤紅蓮……紗雪…でいいか?何か武器を持ってないか…なるべくなら片手で扱える物がいいのだが……?」
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