PROGRAM1 消失~起因する物語

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紗雪をよく見ると、背中に身長程もある太刀と、腰ベルトに鉄鞭を幾つか吊り下げていた。 とても華奢な女の子が使う物とは思えない。 「ええ、紗雪でいいわ。こっちは紅蓮と呼ばせてもらうわね。武器ね……これでいいかしら?」 「ああ……」 紗雪は鉄鞭を差し出し、それを俺が受け取る。 右腕を通して鉄鞭の重みが伝わってくる。 「うぅっ。やってくれはしたね、もう手加減はしませんよ。その身体……バラバラにしてくれる………」 藍沢は先ほどまでと違ってその表情に余裕は残っていなかった。 殺意が浮き彫りのように顔に出ている。 「紗雪、あいつは人造人間だ……運動エネルギーを使って近距離ではまともに戦えない。………どうする?」 「大丈夫、私も人造人間だから…」 紗雪はそう言うと背中の太刀に手を伸ばす。 太刀は通常の刀と違い、本来鍔があるべき場所に機構を付けていた。 「機械刀か…」 「あなたの持っている鉄鞭も一応、貫通機械鞭よ。」 「なら好都合だ。奴は貫通攻撃だけは止められないみたいだからな……」 俺達は構えながらに話していると、藍沢が痺れを切らし、こちらに問いかけてきた。 「相談は終わりましたか?……では、行きますよ!!」 藍沢はこっちに向かって突っ込んでくる。 そのスピードは通常の比ではない。 「紅蓮!お願い、時間を稼いで!」 「はぁ!?……ちっ」 俺は突っ込んでくる藍沢を寸での距離で避ける。 それと同時に鉄鞭を藍沢のみぞおち目掛けて振り抜いた。 藍沢はそれを難なくかわし、距離を取るために後方へ飛び戻る。 「はぁ!!」 俺は藍沢を追いながら鉄鞭を肩に乗せると、藍沢の数メートル手前で高く飛び上がる。 「遅いですよ…………!?」 藍沢は俺の鉄鞭の一撃を素手で受け止める。 通常ならこれで終わっていただろうが、機械鞭に仕掛けられた貫通攻撃は思わなぬ効力を発揮する。 突如藍沢の足元が崩れ、藍沢はその下の階へと床ごと吹き飛ばされた。
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