PROGRAM2 神影

4/24
前へ
/184ページ
次へ
「ありがとう。紅蓮君……私に出来る事があったら何でも言ってくれ。力になるよ……」 「はい………」 話を終えると、タイミングを見計らったように雛が外に出てきた。 「紅蓮、おじさん。葬儀を始めるそうだけれど……」 「ああ……今行く」 そう返事を返すと、三人で家の中へと戻って行った。 葬儀が進む中、俺が線香を立てる番が回ってきた。 蒿を目の前に、俺は祈りながら火をつけた線香を香典立てた。 『蒿……俺がみんなを護る………だからお前は、安心して眠れ…………』 そうして俺は、決意の炎を心の中で燃やしつつ、席へと戻って行く。 その時、雛がこちらを見ていたのを、俺は疑問にも思わなかった……。 「………」 葬儀の後日アリスの護衛役を待って、俺は玄関に待機していた。 「お久しぶり、紅蓮。これからよろしくね!」 俺の家の門を叩いたのはあの時俺達を助けた少女…紗雪だった。 「は………?なんだ、その荷物は…それに宜しくとはどういう事だ……」 紗雪はただの訪問にしては多すぎる荷物を両手に抱えている。 右手に大型トランクケース、左手に旅行鞄。 トドメに背中にサバイバルリュックを持っていた。 「なんだ、旅行にでも行くのか。行ってらっしゃい」 俺は棒読みで台詞を言い終えると、高速で引き戸を閉めにかかる。 ーガシャ! と言う音と共に引き戸がつかえ、玄関に沈黙が走る。 「な・ん・で・し・め・る・の・よっ……アリスちゃんの護衛で来たのに………」 「何だ、お前だったのか……」 俺は顔を逸らしながら引き戸を開ける。 紗雪は膨れ上がった荷物を柱と引き戸にぶつけながら入って来るなり、俺に罵声を浴びせくる。 「今、分かってたでしょ!私だって!?」 「分かるわけないだろう…それより早く上がれ」 こういう時のやり取りは楽しいので、俺は時々こういった遊びをする。 された相手はたまったものではないだろうが……。 「まあ……いいわ…。」 「おい!アリス?護衛が来たぞ!」 俺は紗雪の荷物を置かせて、アリスの部屋の前に来ていた。アリスの部屋の襖を叩き、アリスを呼んだ。 すると間もなく、部屋からアリスが顔を出してきた。 「ほんと!ちょっと待って……えーっと………」 「紗雪だ。俺達を助けてくれた…一応恩人だ………」 「宜しくね、アリスちゃん。これからは暫く、私があなたを守る事になったから。」
/184ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加