PROGRAM1 消失~起因する物語

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俺がそう言うと、雛は他の風紀委員に運ばれていく主将を横目で見た。 「…たしかに、でも紅蓮は最初から関わる気なかっただろう?」 「まぁな…」 俺はそう言って頭を掻いた。 「…じゃあ、行こうか。早く行かないと時間も残っていないしね…」 「ああ。…行くぞ!蒿。」 俺と雛は何事もなかったかの様に体育館へ向かった。蒿もその後を追っかけて来てはいたが、何故かホコリだらけだった…。 「ねぇ紅蓮、どこから回る?」 担当の先生からの説明が終わり、すぐさま蒿が俺に話掛けてきた。 「適当に空いている所から回るか…その前に雛とアリスを探さないとな…」 「呼んだかい…。」 突如現れた雛に驚いた蒿が尻餅をついた。 「ああ、今からお前達を探そうかと蒿と話してた所だ。そういえば、アリスを見てないか?」 俺がそう言うと、雛は蒿を起こしながらこう答えた。 「アリスならまた親衛隊に護衛されてたけれど…迎えに行くのかい?」 「いや…それなら行きたくない…。」 自称アリス親衛隊…いわゆる非公認ファンクラブだ。俺と蒿に激しい敵対心を持ち、よく放課後に捕まって処刑まがいの行為が行われる…。 「じゃあ、あそこから回ろうか。」 蒿がそう言って指したのは反復横跳びのために三つのラインが引かれた場所だ。俺は運動に関して苦手なものはあまりないが、逆に得意なものもあまりない。 雛は先ほどのように運動は折り紙付きだが、ペーパーテストの方は破滅的にヤバい。それなのにわざわざ進学クラスを選ぶとは、当時の俺達は疑いもしなかったな。 蒿はと言うと 「ギャー!足ひねった!先生、もう一度チャンスを……」 運動音痴で救いようがない。子供の頃に俺や雛に混じって、雛の祖父が経営している道場の隅でやっていた体力訓練は何だったのだろうか? 「次、紅蓮の番だよ。……何をボーっとしているんだい?」 いつの間にか俺の番になっていたらしい。雛が俺の前に立っている事にも気づかなかった。 「ああ、少し考え事をしていた。もう俺の番か、早いな。」 俺はそう言って真ん中のラインをまたぐようにして立ち、先生を無視して蒿が勝手に合図を出した。 「じゃあ行くよ!…ヨーイ、ドン!!」 そして蒿の合図に合わせて、いつものように疲れない程度で反復横跳びを開始した。
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