PROGRAM1 消失~起因する物語

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午前の運動測定も終わり、後は午後の能力の測定だけとなった。俺達は教室の前で雛と別れ、昼飯を食べるために自分の教室に入って行く。 「紅蓮!蒿く~ん!お昼ご飯にしよ。」 教室で俺達を迎えたのは、重箱を机に広げ俺達に手を振っているアリスだった。 「いつの間にこんなものを……」 「すごいね……」 俺と蒿が呆れていると、アリスが当然のように 「うん、お母さんがみんなで食べなさいって届けてくれたんだけど…久しぶりに力入れてみたんだって!すごいでしょ-!」 「てめぇが作った訳じゃないがな…」 机の上に広げられた重箱には、俺達には到底食べきる事が出来ない量が入っていた。 「まあ午後はオレ達暇なんだし、お腹一杯食べよう!」 蒿は嬉しそうに席について直ぐさま箸をてにとった。 「早く食べよう紅蓮!冷めないうちに!!」 「そう……だな……」 俺も席についてから、すでに重箱をつついている二人に混じってエビフライに箸をのばした。 昼休みが終わり、これから能力測定なのだが俺達は教室から出ようとはしない。何故なら能力がない俺達はそれをする必要がないからだが、暇だからといって自習をさせられる訳でもない。 いつもこの時間になると能力がない奴らは己の教室から運動場に目をやり、能力測定の様子を見学していたり、しゃべったり、ある奴は隠し持ってきたゲームをしたりとこの時間になると、とにかく好き放題にやっている。 先生達はそんな様子を見ても口頭で注意するだけでなにもしない。 俺はと言うと、大人しく運動場を眺めてその様子を見ているだけだ。 アリスと蒿は食べ過ぎて腹痛を起こし、今は保健室のベットの上だ。 「高速移動ね…」 今測定を受けている奴は俺と同じ剣道部の奴なんだが、試合で禁止されてないとはいえ、高速移動を使っては勝利を納めている東都でトップクラスの成績保持者だ。 剣道をしている者のほとんどは何らかの能力を持ってはいるが、純粋な実力でいえば弱いの一言で済ます事もできるがな。 一応、俺はアイツに負けた事はない。 移動速度だけが上がっただけで、剣撃のスピードは普通だからな。 「紅蓮」
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