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こんな夜に一体誰がこんな場所に来たのか不思議に思いながら、木の影に身を潜め足に踏まれた木が
――ミシッ―― ミシッ!
と音を立てて近付きそこで止った。
「良いか、怪しい者が近付けば尋問をしなさい。織田家と繋がりがあるなら、容赦無く切り捨てなさい。その前に、事情だけは聞いておくのですよ、分かりましたね?」
「はっ!」
「では…。」
そう言うと背の高い男は城の方へ足を戻した。
男が消えるのを確認して、クナイを右に居た男の首に投げ絶命させた。
「なっ、何があった!?」
左に居た男は辺りを警戒するが、誰も居ないと思い死体の方へ向いた瞬間、首に冷たい者が当たる感触がした。
「なっ、何者だ……」
「某のことを聞いた所で何の意味も無い、そんなことよりさっき一緒に居た者は誰だ?」
「だっ、誰が貴様なんぞに教えるものか!」
ふぅと溜め息を吐いた平八郎は、菊一で首に切り傷を入れた。
「もう一度問うが、さっき一緒に居た男は誰だ?」
「分かった! 分かったから殺さないでくれ。あの人は明智光秀様だ、これで良いか?」
平八郎はニヤリと笑い、そのまま男の首を切り裂いた。
「悪いな仕事中の某は、容赦しないんだ。」
刀を鞘に納めクナイを首から抜き、それに付いた血を拭い取った。
「仲間が殺されたと言うのに、助けにも来ぬとは対したお人で御座いますね。光秀様」
平八郎の声は潜む者へ向けられ言われた。
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