一章

12/19
前へ
/217ページ
次へ
道三と呼ばれた男は平八郎を鋭い目付きで睨み付けた、部外者が侵入し更には二人の兵を簡単に倒されたのだ。詩かも、光秀とも対等あるいはそれ以上の強さを持った奴が敵であると言う事に不満を持って居た。 「お主、始末屋から光秀の暗殺を頼まれたか?」 「………」 何も答えなかったが言えれないと言う事は、その可能性が高いと感じ取った。 「まぁ良い、次会う時には命が無いと思え」 それだけ言うと光秀を残して、数人の共と一緒に城へと戻って行った。 「なかなかの腕ですな」 「光秀殿こそ、なかなかの腕前」 これが天下の謀反者と呼ばれるようになる、明智光秀との最初の出会いだ。 甲賀の里を離れて一月余りが経とうとして居た、越前、美濃、尾張、三河、駿河、信濃を渡り今は上杉謙信の居る越後国へとやって来た。 自らを毘沙門天の化身と言う大名には、一度任務以外で会って見たいと思っての事だ。特に彼は'義'を重んじる者と有名である。一説には女性ともある。 「何用じゃ?此所を上杉家と知っての来客か?」 「左様に御座います、某一度でも毘沙門天の化身様に会って見とう思いまして、旅なゆえに会える機会もそうは無いですからな」 「駄目だ! 駄目だ、素姓も分からぬ者を通す訳には参らぬ!」 流石に無理だと諦めたその時、騒ぎを聞き付けた老人がやって来た。
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

288人が本棚に入れています
本棚に追加