二章

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義輝との対面を終えた光秀と、さきやの奥部屋で会う事になった。 光秀は室町幕府の考えに同意している事から、義輝も光秀の事を気に入っていた。 「――と言うわけだ」 光秀から話を聞かされた。どうやら六角とも敵対している様で、自分の命を散々狙って来た連中に仕返しができる。かも知れない期待感が平八郎の心中に生まれた。 「そこで貴方を私の影の側近にしたいと思います。受けてもらえますか?」 「喜んで某の力を御貸ししましょう」 こうして正式元では無いが、平八郎は光秀の家臣の一人として暗殺から情報収集を行う事になった。 「ですが、もしかしたら貴方は、自分の生まれ育った場所を襲わないといけなくなるかも知れません。それでも、宜しいですか」 「そのような事を気にしていては忍は勤まりませぬ」 光秀は喉まで出かかった言葉を飲み込み、何も言わなかった。 「貴方も大変な過去を持って――」 「それ以上言わないでくれぬか、某は辛い、哀しい、楽しいと言った感情は捨てております」 光秀の言葉を制して言った平八郎は、さっきまでとはまるで別人の様に吊り上がった目付きになり殺気漂って来た。 この日以来、光秀は平八郎の過去に付いて触れない様にした。
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