一章

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春霞は更に陰妖を左手に構え、小太刀二刀流の形を取る。 「二刀流かだが、そんな物に頼って某を斬れるのか?」 「……黙…れ」 左に右に襲いかかって来る小太刀を平然と交わして、背後に回り込み右腕を封じ首に菊一を押し当てた。 「そんな腕じゃ某を斬る事は許されん、良いか春霞……暗殺者には感情はいらん。感情なんぞ邪魔だ。だが、一人の人に戻る時は感情は必要だ。その使い分けが出来ぬようでは、真の中忍にはなれんぞ」 抵抗をしない春霞の体をそっと離し、林の方へ走り逃げて行った。 (兄者……)
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