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「……なぁ,早く金出せって。
痛い目に合いたくないだろー?
財布くれたら何もしねぇからさぁ!」
「………で、でも…財布を渡しちゃったら僕は家に帰れないよ…。」
「………ちっ。」
学校の屋上のような場所,一人の青年が容姿がだらしなくタバコをくわえた四人の青年に囲まれている。
そして,四人の内のリーダー的な青年が囲まれている一人の青年の腹部を思い切り蹴り上げる。
「………ゴホッ…ゴホッ…ッ。」
「……んな事知るかッ!
帰る足ならちゃんとここにあんだろーがッ!!
なんなら,こっちの足をダメにしてやろーかッ!?」
「………ゴホッ……ゴホッ…ごめんなさいぃ。」
かつ上げをされていた青年はお腹を押さえながら財布を差し出す。
「……ふんッ,頭が悪い奴だぜ。
最初からこうしてりゃ,そんな目に合わなくて済んだのによぉ。
良いか?
この事を誰かに話したら分かってるよなぁ~?」
「………は、はい…絶対に誰にも言いません…。」
「よし,じゃあさっさと俺たちの視界から消えろ。
目障りだッ!!」
青年はお腹を抱えながら屋上を去っていく。
「へっ,今日もチョロかったなぁ。
仁,亮,隼人,この金でゲーセン行くぞーッ!」
「おっしゃあ,さすが聖夜だぜッ!
俺たちは囲んでるだけで良いんだもんなぁ~!」
「早くお前らも俺みたいに脅せるようになれって。
そしたらもっともっと効率良く稼げるだろーが。
よし,金も稼げたしさっさと帰って遊び行くぞッ。」
柚月との突然の別れ以来,堕ちるところまで堕落した聖夜。
今の聖夜は,昔とはまるで別人の不良の中でも質の悪い不良だ。
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