「なんでも屋」

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 都市マーレイングローイン(通称:マーレン) 都の東側の外れ、脇に背の高い木々が立ち並ぶ林道… ガタンッガタン!!__  二頭の馬を携えた一台の馬車が猛スピードで街を出ようとしていた。その馬車は大きなテント状の荷台を積み、御者席には人影が二つ。そしてそんな馬車の少し前方、木の影でそれ見つめる人影が… 「…あれか」 フードを被った男が木の影で呟く。 ???(情報屋の言ったとおり確認できるのは二人だけ、意外と早く終われそうかな。それにしても希望額か…揉めたらどうしよ) ガタンッガタン!!__ 正に今、目の前で馬車が横切り街を出ていく光景を目にし、フード男はそう悠長にも後悔の念を浮かべる。 「はあ…いいか、行こう」 男はそう息を吐き、小さく『何か』を呟く。 一瞬の呟き。しかしながら音も僅かに男は木の影から飛び出し、風切り音を背に人間のそれとは思えない歩速で馬車との距離を詰める。 これが『魔法の力』。 この世界での生き残る力である。
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