「なんでも屋」

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馬車― 二人のいかにもな悪人顔の男が、 何も知らずに必死に馬車を走らせている。 ガタンッガタン―!! 「兄貴!もう少しでマーレンを出ますよ!アイツが言ったとおりこっちは役人もいないっす!」 「おぅ!この街を出さえすればこっちのもんだ、急げ!」 「はい!…ん!?」 「どうしたぁ!?」 「人が!誰かが居ます!」 馬車の後方から追っていたはずのフード男が、気づかれないまま馬車を追い抜き前方へ。そしてそんなこととは露知らず、御者席の男は人影を確認すると支持を出す。 「確か取引はマーレンを出た先だったが、早まったのか?まぁいい!馬車をとめろ!!」 ガタンッ― 馬車はフード男のすぐ目の前で止まり、兄貴と呼ばれた男が出てくる。 「よう、取引は街を出た後と聞いたが__ん、誰だお前?」 「こんばんわ。少々こちらの都合でその取引は無__」 ブワッ__!! フード男の雰囲気に何かを察した男は、後腰に隠していた長尺のナイフを出し下から上へ振り上げる。 しかし男の咄嗟の奇襲もフード男は軽いバックステップでそれを躱す。 「なっ…!」
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