狂った歯車が導く先

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無言のまま時間だけが 過ぎて行く まだ楓が俺を想っているなんて有り得ないよな あんなに酷い別れ方をしたんだから 許されるはずがないんだ ゆっくり立ち上がり、 砂をはらう 「楓、会えて嬉しかったよ……ごめん、直接謝れなくて」 「じゃ、行くよ…… 幸せになれよな」 「凱!」 「えっ?」 突然抱きしめられた 「俺は凱とじゃなきゃ幸せになんかなれないよ」 「楓……」 「俺はまだ凱を愛してる……だから、だから…… 凱っ…」 「楓……」 「今度はお前を幸せにするのは俺だよ」 「でも」 「もう何も聞きたくない……だから離さない」 「楓…」 「愛してる…ずっとこれから先も愛してる」 参ったな…… 空にはホント…参った こんな形で恩返しかよ 「凱の気持ちは?」 「ばぁか!愛してるに決まってるだろ」 「凱っ……」 「愛してるよ……ずっと愛していた……忘れようとしても忘れられない事もあるんだなって初めて知ったよ」 「凱の為なら島を出るよ……1番大切なものは凱だから」 「楓……」 「行こう」 「どこへ?」 「5年分の空白を埋める場所」 「あのさ…もうお互い いい年なんだし」 「関係ないね」 「ったく…変わらない奴」 「凱もね」 連れて来られた場所は、 俺達がいたホテル 何もかわらない 「ベランダから行こうか?」 「ばぁか!」 「俺は凱と別れてから、ずっと欲求不満だよ」 「俺もだよ」 縺れるようにベットに 倒れ込み、お互いの服を脱がせ合う 「変わらないね」 「楓もな」 激しいキスをしながら、 ひとつひとつの空白を 埋め合わせる 「楓っ……」 「簡単にはイカせない」 「お前もな」 触れ合う肌は昔のまま なにひとつ変わらない 太陽が顔を出しても、 もう居なくなる事はない 「激しいから……」 「まだ足りない……」 「待て!俺は…」 「ダメ!」 「ちょ!」 気が済むまで抱き合ったら今度は何をしよう まず、空に報告かな きっと空は笑ってくれるに違いない
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