透明

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妊娠が分かってすぐの頃   神崎に強く説得され、母に報告の電話をした。         あたしの稼がなくてはいけない目的のもう一つは   【母親を養う事。】     弟が高校を卒業したら   両親は離婚すると もう何年も前から決まっている。     母には憎しみしかなかったけれど 実の親を見捨てる事は出来ないので…   その為にもお金が必要だった。     神崎はその事も理解してくれて 籍を入れた。         『あのさ…   あたし…赤ちゃんできたんだ。』       母に連絡するのはあまり気が向かなかった。   子供も愛せない人が孫なんて興味ないだろうし   母の反応なんて 全く期待してなかった。     でも、自分の口から   【赤ちゃん】   この言葉を 母に発する事に感極まったのか   あたしの瞳から自然と涙が溢れていた。
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