卒業

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母にはあの日の事は言ってない。 だから知る事は無い。   けれど自分の夫が娘の下着を隠し持っていた事は知っていた。     両親は不仲で別々に寝ていたが 母が父親の部屋の布団を干そうとした時   布団の中から 娘の下着が出てきたのだ。  その後 父親の部屋のタンスを開けると   あたしが中学の時に行方不明だったものから 最近のものまで 大量に下着が出てきた。 そして あたしが水着や浴衣を着ている姿の 下半身だけを拡大して写した写真も  片手で持てないほど出てきた。   『のんちゃん!のんちゃん!! 早く!早く来て!!こっちに!! な、何よ、これ!!もう!!! 何なのよーーー!!! …早くこっちに来て見なさいよーー!!!」 階段を駆け上ると 父親の部屋で悲鳴を挙げ パニックになっている母。 布団の上に下着と写真が散らばっていて それが自分のものだと気付き 体中に寒気が襲った。 父親が写真好きなのは知っていたけど あんな写真を撮ってたなんて…     『こ…こんなの…絶対おかしいよ… 気持ち悪いよ…!!』    『…ママ、一緒に家を出よう? あたしが働いて養うから!!』   泣きながら震える声で言った。   それに対する母の言葉に自分の耳を疑った。 『…ふざけるなよ。 お前が我慢すればいいんだよ。  妹と弟が可愛くないんか!!!』
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