卒業

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あたしさえ犠牲になれば 妹と弟が救われるの…?    いつからか罪のない幼い2人を  護ってあげたいと思うようになった。   朝の掃除を終えると 朝食を作って食べさせ 学校の準備や先生からの手紙のやり取りもした。 帰宅すると宿題をチェックしたり 夕飯の準備や父親のつまみの用意 父親の仕事着のアイロン掛け 妹と弟と風呂に入るのが日課になった。     こんな両親だから 2人は姉であるあたしによく懐いていた。 そんな妹と弟を可愛く思えた。 『この子達がずっと笑顔でいられるように』って     理不尽な事にも 沢山耐えていた。      でも…今回ばかりは無理だ。   親のために体を売るなんて…  死んだ方がマシだ!   20歳過ぎたら 親の同意なしでアパートを借りられる。    あたしはやっと 家を出る計画を始めた。   その為に、ショップ店員の夢を諦めて  給料が良い町工場で働き始めたんだ。
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