闘い

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入店から5ヶ月が経った頃   あたしはユリアとNO1の座を互角に奪い合っていた。 その日の終礼で店長が指名が少ない順に名前を読み上げて行く。    最後に名前を呼ばれた方がトップだ。 指名が0で一番に名前を呼ばれる事が多かった 下を向いてたあの頃とは違う。 ーー負けたくない気持ち。   ユリアは酒が弱いあたしに よく一気コールをかけた。   一度断った時   『空気読めよ? 飲めない奴はさっさと田舎に帰れ!』   その言葉が悔しくて 苦手な酒を無理矢理口に入れた。     ユリアはあたしのヘルプにつく事も度々あった。   長い間、店の顔だった彼女にとっては かなりの屈辱だろう。     そんなユリアに 少しでも同情を感じたのがバカだった―   あたしのヘルプにつく度に   『シホちゃんて、ヤリマンだよ。』   『あの子って、常に性病らしいよ?』   『彼氏5人居てーー…   色恋営業ばっかやってるから 騙されない方がいいよ。』   『知ってた? あの子、枕嬢で有名だよ。』     ユリアの手口に引いた客や仲の良い女の子が ユリアがあたしの悪い噂を吹き込んでるのを教えてくれた。   犯人は分からないが ホステスサイトの掲示板にも 毎日同じような内容が書かれている。     去っていった客も ユリアに指名換えした客もいた。
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