金>恋愛

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今度はランの誕生日。    誕生日は指名を稼げる 絶好の機会。   シホが入店してすぐの頃 アヤカはこう言っていた。   『あたしは誕生日位、ゆっくり家に居たい。 だから客には  本当の誕生日は言わないんだ―』     アヤカはガツガツしたタイプではないし  女性として憧れる部分が沢山あった。   あたしも真似をして 客には違う誕生日を教えていた。       ランの誕生日は ユリアほどではなかったけれど 沢山の客が会いにきた。     ランの客は 彼女の好む俺様系が多い。     ガラの悪い4人グループのテーブルにつき   あたしはその中の1人に指名されたので 席を離れられなかった。   厄介な事に、負けたら罰ゲームで ヘネシーを小グラスに一杯ずつ飲むゲームをしている。     フリー客についたマキはゲームに負けたけれど  彼女もあたしと同じで酒が苦手だ。     『マキちゃんお酒飲めないから 代わりに飲んであげて?』   あたしはグラスを マキがついている客に渡した。    『シホちゃん…ありがと。』   マキが微笑んで言った次の瞬間   今フリーについたばかりのユリアが 勢い良くそのグラスを奪った。      『ハイ、お酒大好きな シホちゃんグイ!』   ユリアが店中に響く声ではしゃぎながら手ばたきして   一気コールが始まった。
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