月曜日

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  角部屋で陽当たりもいいこの部屋。 白い壁紙が光を反射させ何時も気持ちが良かった。 二人で見付けたこの部屋。 『職場から遠いよ?』 と言う私に… 『愛(まな)ん家に近い。』 そう言って笑った亮。 引っ越しに備え、この部屋に合う様にと二人で食器を選び、雑貨を揃え、シャワーカーテンを選んだ。 部屋に少しずつ増えて行った、私の洋服。 一つ一つが積み重なったこの部屋は、私にとっても宝物だった。 私は布団を干し、軽く埃を叩くと掃除機をかけた。 ブーンと大きな音と共に埃を吸い込み、部屋が綺麗になっていく。 床を水拭きをし、洗い終わった洗濯物を干す。 部屋に満ちる光りと柔軟剤の香り。 (あぁ…幸せ。) そう感じた瞬間…私はポロポロと溢れだす涙を止められなくなってしまった。 突然襲った涙に、正直驚き戸惑った… 自分が失ったモノの大きさがそこにはあった。 この部屋で過ごした時間は私の宝物だった。 (守りたい…未来が変わるなら…そうなってもいい。) そう考えた私の心に不意に未来に結ばれたはずの主人の顔が浮かんだ。 でも、今…亮を目の前にして、神の前で誓った永遠は脆くも崩れさってしまいそうになっていた。
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