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掃除、洗濯を済ませると私は紅茶を煎れテーブルに運んだ。
テーブルの前に腰を下ろすと、懐かしい丸テーブルの縁を指で撫でながらゆっくりと紅茶を口に運んだ。
温かい紅茶が喉を下る感覚が心地よかった。
(うん。流石、中身は主婦。なかなか素早いじゃない。)
少し自分に感心し、掃除終わりの澄んだ空気に満足した。
でも一人暮らしの部屋じゃこのくらい当たり前なのかと思うとなんだか一人で笑ってしまった。
私はロフト付きの高い天井を見上げながら考えていた。
理屈は分からない。でも、夢にしてはリアルだし感覚もある。
手にしたマグカップをテーブルに戻し、コツンと当たる音を聞くとやはり現実なんだと感じた。
私はとにかく過去に居る。中身は未来の私だから、これから起こる事も知っている…。
私は、亮と別れて別の人と結婚し生活をしてきた。
幸せじゃなかったとは言わない。
でも、亮程私を分かってはくれない旦那と亮を心のどこかで、申し訳ない事に比較していた。
何時も戻れたら、やり直せたらと想い続けてきた。
情けない程後ろ向きに生きていた。
その願いが届いたのか分からないけど…私は今ここに居る。
あの喧嘩を回避出来れば、私の気が付かなかったトラウマは現れる事無く、彼と進んで行ける。
私は、もう子供じゃないから…あんなに彼を困らせる事はきっと無い。
もう一度始められるかもしれない。
私は日曜日に起こる事を思い出し、ゆっくりと考えて行った。
(そう…時間はまだ少しある。)
私は、残り少なくなった紅茶を飲み干した。
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