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ガチャリと玄関の鍵が開く音に目が覚めた。
寝てしまったみたいだった…。私は、慌てて玄関へ向かう。
『お帰りなさい。』
『ただいま。おっイイ匂い』
靴を脱ぎ部屋に上がると亮は、荷物を置き洗面所へと向かった。
亮は手と顔を洗うと、テーブルの料理を見た。
『え?愛が作ったの?』
『うん。そうだよ。』
『カレーとかオムライスとかじゃないんだ今日は…』
『うん。和食じゃダメ?』
…そうか。当時の私はそんなモノばかり作ってたんだ。すっかり忘れて何時も癖で作ってしまった…。
亮…和食ダメなのかな?
そっと亮の表情を見る。
『いや。嬉しいよ。なかなか食べれないから。ありがとう。』
優しく笑う。
亮は、そう一度も私の料理を不味いとは言った事がなかった。
だから、私は頑張った。
本当に美味しいと思ってもらえる様にと…その気持ちを思い出した。
『良かった。沢山食べてね。』
私はご飯を亮に渡した。
私は、ご飯を食べる亮を見つめる。
この人は本当に美味しそうに食べる…何時もそれが嬉しかった。私はもう一度その姿を見れると思うと嬉しかった。
食べ始めた亮の箸を動かす手が止まる。
『どうしたの?』
少し不安になり声を掛ける…
『味付け変わったね?』
『美味しくない?』
『違う。味が落ち着いたから。美味しいよ。』
そっか、主婦暦があるからなぁ…確かに落ち着くよね…。
でも、不味くなくて良かったと少し安心した。
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